雑貨業界小さな企業の海外チャレンジ アメリカ市場へ:展開商品選びでよくある誤解 5

  1. 日本に旅行に来たアメリカ人がお土産に購入する商品が売れる
  2. 日本で販売している商品をそのまま販売しても売れる
  3. 自社で一番売れている商品が売れる
  4. 日本語表記があるほうが売れる
  5. 日本文化を強調したようなデザインのほうが売れる

今回は、5つ目の誤解「日本文化を強調したデザインのほうが売れる」について掘り下げてみたいと思います。

これまでも繰り返しお伝えしている通り、訪日外国人観光客の数は過去最高を記録しており、東京、京都、大阪などの大都市に加え、地方にも外国人観光客が増えているのを耳にします。日本の観光地やホテルのお土産売り場では、日本文化を反映した雑貨が多く取り揃えられています。

私が日本に帰国する際、アメリカへのお土産として購入するのはほとんどが食べ物、特にお菓子です。空港のお土産売り場では、アジア系の方々が大量のお菓子を購入し、長い列を作っている光景もよく目にします。

一方で、アメリカからの旅行者は、日本旅行の記念に残るようなものを好んで購入する傾向があります。彼らも日本食を楽しむことが旅行の目的の一つではありますが、アジア圏の旅行者と比べると、食べ物ではなく、旅の思い出に残る物、例えば着るものや実用的な雑貨を選ぶことが多いようです。

たとえば、空港でも手軽に買えて、家族や友人に分けやすいキーホルダー、ペン、手ぬぐい、着物生地を使った小物、Tシャツ、小さなおちょこ、ステーショナリーなどが人気のようです。これらは帰国後も使えるため、アメリカ人観光客にも好まれています。

アメリカからの日本への観光客の著しい増加は、円安という為替の影響は大きいですが、メジャーリーグの大谷翔平選手の活躍により、アメリカでは「Japan」という国名を耳にする機会が増え、日本文化や日本食への関心が高まっています。

また、真田広之さんと澤井杏奈さんが主演したアメリカ制作のドラマ「Shogun」がエミー賞を18部門で受賞し、戦国時代の風景や着物などが精巧に再現されていたことで、アメリカ人の日本文化や歴史への興味が一層高まったと言えるでしょう。これにより、日本の伝統的なインテリアや着物デザインなどが、お土産として注目を集めています。

こうした背景から、日本を訪れる欧米の観光客が日本文化を象徴するお土産を多く買い求めるようになったことで、よりアメリカ市場でどのようなデザインの商品が売れるのかが分かりにくくなってきています。

では、ここからは、実際に日本文化を強調したデザインの雑貨を販売した経験をを元にお伝えしていこうと思います。

私のこれまでの日本の雑貨商品のアメリカ展開経験から言うと、日本文化を強調したデザインの雑貨は、日本国内では売れやすいものの、アメリカ市場での成功は難しい場合があります。

以前、日本の伝統的デザインを取り入れた商品をアメリカで展開しようとしましたが、日系の雑貨店では受け入れられたものの、一般の雑貨店やギフトショップではあまり支持されませんでした。その理由は、日本の伝統的デザインの商品は、アメリカでは「日本で買うほうが本物で価値がある」と思われがちだからです。

そのため、アメリカで日本の伝統的なデザインを展開する際は、特定の販売店を厳選し、長期的な関係を築く必要があります。しかし、それでも販売が安定しないことが多いのです。日本の文化を強調した商品のみを扱う専門店や、そのブランドの直営店が増えれば、状況は変わるかもしれません。

では、中小の雑貨事業者がアメリカ市場で長期的に成功するためにはどうすれば良いでしょうか。たとえ「Shogun」の影響で日本のデザインに興味を持つ人が増えても、日常生活で着物を着ることはほとんどありません。そのため、さりげなく着物の柄を取り入れたデザインや、シンプルで高品質な商品が、アメリカの一般的な店舗で受け入れられる可能性があります。日本文化が見え隠れする程度のデザインは、より一般的なライフスタイルに調和し、使いやすい商品となるでしょう。

もうひとつ、日本にはKawaii文化があります。このブログではアニメ文化については取り上げませんが、日本のKawaii、キャラクター文化については一部のアメリカの消費者、特に若い層では流行っています。

しかしながら、このKawaiiのキャラクター文化については、アメリカでは中国や韓国の製品にも似たようなものが販売されており、アメリカでは日本独特の文化というよりも、アジア文化とみられる傾向が高いです。

雑貨商品にKawaii文化のデザインを入れる際には、中国、韓国など、他のアジア圏との商品との差別化がしにくいため、価格競争も激しくなりますので、これもまた日系の販売店以外のアメリカの一般的な販売店では取り扱いが難しい場合が多いです。

最後に、日本文化を取り入れたデザインの商品をアメリカで展開する際は、独創的で日常生活に自然に溶け込むデザインが求められます。既存の製品とは異なるユニークな魅力を持つ商品が、アメリカの消費者や販売店に受け入れられやすいでしょう。

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