なぜ海外をめざすのか
最近、毎日のように異次元の少子化、人口減少、人手不足のニュースが報道されています。日本の市場は縮小の一途をたどっています。
日本は先進国の中でも人口がそれなりに多い国だったことで、高度成長期から国内消費で経済が成り立っていましたが、これからはそうはいきません。海外との競争も激しくなり、ものを作れば売れる時代は終わりました。
日本市場で日本人のみを相手に商売を行ってきた企業にとって、今、何もアクションを起こさなければ、人口減少が止まらない縮小経済の日本市場だけでは売上をキープするどころか売上は下がる一方となり、従業員の給与を上げることも、ましてや従業員を確保することもできません。事業の存続が危ぶまれている中小の事業者は日々増え続けています。
そこで、海外に販路を見出したいという企業も日々増え続けています。しかしながら、多くの中小の事業者が海外展開を諦めてしまう現実があります。諦めてしまう理由は様々ですが、その多くが自分の会社では無理、難しい、できる人がいない、何をしてよいのかわからないなど、チャレンジする前から諦めていることです。それは本当に残念なことです。
海外はどんどん近くなっている
日本車や家電製品などは、既に何十年も前から世界中で販売され、同様に日本食も世界中で楽しまれる時代になりました。今や、海外での日本製品の普及は当たり前の光景になっていますが、初めて海外進出を試みた時の困難や、異文化への適応に費やされた努力の大きさは計り知れません。
そのような先人たちの勇敢なチャレンジのおかげで、現代は海外進出がより容易になりました。そして、インターネットなどのテクノロジーの発展により、今や大手企業や資金力がある企業だけでなく、中小の事業者、そして個人でも海外に進出する意欲があれば、いつでも誰でもその夢を実現できる時代です。
海外展開への決断
中小の事業者だけど海外市場に自社の商品を販売したい、それを実現するには、まずは海外展開を決断することです。海外展開したいという思いがあっても、「やる」という強い決意がなければ何も進みません。興味はあるけれども、「いつかそのタイミングがきたら・・・」と待っていたら、本当のタイミングを逃してしまう可能性が高いでしょう。
海外展開を真剣に考えている中小の事業者の方々は、まずは海外市場での販売を本気で決断することが、最初のアクションです。
何から始める?
海外市場に販売することを決断したら、次は海外展開を実現に近づけるための情報収集です。
海外展開に興味のある多くの事業者や、海外展開に取り組まれている事業者の方々は既にご存知の方がほとんどだと思いますが、最初に取るアクションとして、日本貿易振興機構JETROのホームページをチェックしてください。
現在、JETRO、経済産業省、中小企業庁、中小機構が主催する新規輸出1万社支援プログラムがあり、「はじめて輸出」に乗り出す事業者を支援しています。まずはこちらのプログラムをチェックし、お近くのJETROに連絡したり、JETRO主催のセミナーに参加してみることをお勧めします。
また、JETROのホームページには、海外展開を考える事業者にとって便利で役立つ情報が、海外展開ハンドブックとしてダウンロードできます。以下がリンクです:
始めて海外展開を目指す中小の事業者の中には、情報量が多く少し難解に感じる方や、自社の規模とは異なる情報と感じる方もいるかもしれません。しかし、自社の業界やビジネスにとって有益と思える箇所の情報だけでも抑えておくと、海外展開を実際にスタートする際に大変役立ちます。内容がとても充実していますので、ハンドブックをダウンロードして、海外展開に関連する知識を少しでも深めておくことをお勧めします。
また、JETROでは、様々なサービスを無料で提供しています(一部有料)。海外向けの商品開発・改良、ブランディング、プロモーションの費用のサポートや、越境ECサイトの構築、出展費用の支援なども含まれます。
下記リンクから、JETROの海外展開に関するサポートサービスやプログラムの概要を確認できますので、是非チェックしてみてください。
海外展開を目指す事業者に補助金申請をサポートし、その補助金を活用することを前提とした様々な海外進出サービスを提供している企業も多々あります。ただ、中には事業者向けの補助金を目当てに高額なサービスを売りつける企業も存在するようですので、トラブルを避けるためにも、海外展開に関する補助金の申請については、JETROに直接相談することをお勧めします。
JETROが提供している海外展開の情報をチェックし、JETROの無料で受けられる支援サービスを可能な限り受け、次は自社で可能な限り取り組んでみることが重要です。
中小、零細雑貨企業の多くは海外展開を諦めてしまう
ここまで、海外展開を目指す中小の事業者が最初に取るべき行動として、海外展開を決断すること、次はJETROが提供している海外展開情報をチェックし、できる限り無料の支援サポートを受け、可能な限り自社で取り組んでみることをお伝えしました。
しかしながら、特に中小・零細事業者は、提供されている海外展開の情報が自社の事業レベルと異なって戸惑うことや、情報を読んでも何から始めたらよいのか、何をどうするのか、理解できないことがあります。JETROの無料サービスにさえ連絡することをためらってしまったり、取り組みを諦めてしまうことも多々見受けられます。
また、JETROの無料サービスに相談し、無料セミナーにも参加し、JETROの専門家のアドバイスも受けたり、それなりにアクションも起こしたけど次に進めない、思ったようにうまくいかない、やっぱり無理、と諦めてしまう事業者も多いのは事実です。
海外展開に関する情報が無料でいくらでも入手できる時代においても、多くの事業者が自社の状況に適した海外展開の方法が見つからずに苦労しているのが実情です。
特に、中小、零細が多い雑貨業界の事業者は、海外展開を試してみたけど、思ったよりもうまくいかなかった、最初は少し売れたけど続かない、という声を聞くことが多いのです。
そういった中小、零細の雑貨事業者の多くが海外展開を諦めてしまう事態を少しでも減らし、より多くの事業者が海外展開に挑戦し続けることができるよう、現地アメリカで日々日本の雑貨商品のアメリカ展開にチャレンジしている体験談を、より事業者にとって有益となるエピソードを交えてお伝えします。
今回は、海外展開を目指す事業者がまずは取るべきアクションとして、
- 海外展開をすると決断する。
- JETROが提供している情報をチェック、支援サービスを受ける。
- 自社で可能な限り取り組んでみる。
次回は、なぜ雑貨業界の海外展開でアメリカ市場を目指すべきか、について解説します。